ログオフ・・・ゲスト様

コラム

2020年5月号教室だより「巻頭言」より抜粋

4月なかばに全国に発令された緊急事態宣言により,熊本県も全学校が休校となりました.おおくの施設が営業停止に追い込まれ,日本経済に深刻な影響を与えつつあります.そうした中,ノエルでは塾に入室するときは手をアルコール殺菌する,一部屋に5名以上の生徒が入らないようにするなどの工夫を設けることで休むことなく,塾を継続することにしました.この大変な時期に塾を続けることができたのは,ひとえにノエルに通われている保護者の皆様の理解と協力があってのことと感謝しております.

本来であれば入学や進学がおわってちょうど一ヶ月の連休明けのこのあたりで,燃え尽き症候群になりかけて少しやる気がなくなる生徒が出る季節ですが,今年はやる気のでるでないではなく,生徒自身もどうしてよいか戸惑っているようです.ただし,こうしている間にも時間は着実に過ぎていきます.とくに受験生は本番に向けて刻一刻と学習時間が短くなってきていることを自覚し,なるべく学校に通っているときと同じように過ごすよう心がけてください.どうしてもやる気が出ないという人は相談に乗ります.一緒に解決策を模索しましょう.中にはそれでもどうしても勉強しようという気にならない人もいると思います.学校生活もなく,成績に直結するようなテストも中止となっている中で,すくなからずまったくやる気を失っている人もいると思います.その気持ちもおそらく緊急事態宣言があけて学校が始まりだすと消滅すると思います.もしそうならないようでしたら,事態は深刻です.とくに小学生の時はそこそこできたのに,中高の6年間でじりじりとゆるい坂道を下るように成績がおちていってしまう人は要注意です.小学生は義務教育でかつ学習内容は誰もが理解できるレベルのため,小学生で落ちこぼれを作らないのが日本の教育のスタンスです.そのため平均の知能があれば小学校時代は無難に過ごせます.しかし中学,高校と進むにつれて地頭のみの勝負は不可能になっていきます.高校で進学校に通って成績が伸び悩む場合は,学力的にもういくらがんばってもその学校の要求に答えられないのか,もしくは努力が足りないのか2つの場合がありますが,さきほどのゆるい坂道降下タイプの生徒は努力をしても這い上がることが困難になっている場合が多いようです.その場合,こちらからあまり強力に勉強することをすすめると,できないことばかりになっていることに気づき,逆に自信をなくすということになりかねません.ですので,とくに中学生の生徒で将来大学進学を希望する生徒は,中学生の3年間は絶対に勉強を休まず続けてください.中学3年生でやっと学習の大切さに気づいた生徒は,毎日でも良いので塾に来て自習を続けてください.せっかくノエルに通っていただいたのに,成績が落ち続けるのでは申し訳ない気持ちでいっぱいになります.そうならないためにも,早めに学習習慣をつけておきましょう.人は人から称賛されたい,認められたいと思う生き物です.この「承認欲求」は小学生までは親がその役割を果たします.親が「すごいね!」と声をかけてくれることが自信に繋がります.中学生になると徐々に社会に関心が向き始めます.この時期は友達から認められることが大切になります.ですので中学生時代にどのような友人と付き合うかはとても大切です.勉強を重視しないグループにいると,どんどん学力が落ちていきます.そして高校生になって自分がおとなになりだすと教師から認められることが自信に繋がります.また発達段階によって承認欲求はその過程より結果へと移っていきます.これは結果が全てになっていくという意味ではなく,結果をだすためにどのような過程で物事を進めていくかということを大局的に考えることができるようになるということです.より学力が上がれば上がるほど,ただ受験に勝ち抜くためだけの学習が愚かに感じてくることと思います.もちろん受験で勝つという結果を残すことは重要ですが,本当に実力のある生徒は人生において受験がすべてでないこともわかっており,自分が将来にわたって学習を続けていくことが人生の答えを見つけることになるということに気づくのです.少し抽象論になってしまいましたが,たとえばこういうことです.もし受験だけ乗り切ればよいのであれば,受験で必要なところだけを勉強し,それ以上のことには関心を向ける必要がありません.極論をいうと受験そのものは想像力とは無縁であり,与えられた解を正確に答える力さえつければ十分です.しかし人生全般のあらゆる局面において,こうした予め用意された解答を答えるだけでは決して満足する解を得られないことも事実です.ここで大切なのはたとえ受験が結果重視であったとしてもそれは長い人生の一通過点であり,それを個々人がどのように意味あるものとするかということなのです.大学に行くだけが目的の受験では意味がありません.大学に入るとそこにはまた新しい試練が待っています.大学は決して甘いところではありません.まして国公立大学となるとそれなりの結果を教授たちも求めてきます.ちょっとまとまりがなくなりましたが,いいたいことはこういうことです.結果がどうであれ,若い時期を全力で学問に捧げることを無駄にしてほしくないということなのです.受験勉強を通して学問の愉しさと苦しさを学んだ人は,受験だけでなく生き抜く知恵のようなものを自ら勝ち取っていくようです.すなわち,受験暗記的な勉強ばかりではなく,ときには立ち止まり,思考を巡らす訓練をすることで,危機に立ち向かう強い精神と最善の策を導ける冷静な頭脳を手に入れることができるのです.

保護者の方へコロナの驚異が日本だけでなく世界中を恐怖に巻き込んでいるようです.こうしたときは人は思考停止状態になり右ならえになりやすいと思います.とくに日本人は他人との協調を美徳とする性質があるので,ことすれば過剰なコロナへの恐怖が他人への偏見をうみだすことになりかねません.コロナの蔓延は子どもたちにとって本当の危機に対処するための実践的な教育になっていると思います.どうコロナと向き合っていくのか,ざひご家庭でも常日頃からこの問題について話し合っていただければと思います.そして危機こそチャンスであることを知ってほしいと思います.

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