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コラム

2019年12月教室便りより抜粋

科学では客観的にデータを集め,そのデータを誰もが納得する法則や理論を用いて説明することが望まれます.今回はちょっと抽象的ですが,科学的議論の必要性についてお話します.近代科学の発展はいうまでもなくガリレオ・ニュートンの完成させた力学がそのはじまりです.ではそれ以前に科学は存在しなかったのでしょうか.またガリレオ以前と以降では何が違っているのでしょうか.まずガリレオ以前に科学的思想がなかったのかというとそうではありません.科学をひろく自然を理解するための思想であるとするならば,宗教も科学の範疇に入ってしまいますので,ここではたとえ証明されていなくてもそれを信じることで万人が受け入れることのできる自然を理解するための手段を科学と定義しましょう.ちょっと話が難しくなりましたが,たとえば帽子がとばされたとき,風が吹いたと考えるか,空から天使が降りてきて引っ張ったと考えるか,たとえ実際に帽子が飛んだ現場を見ていなくても,天使が引っ張ったというのは一部の人は信じるかもしれませんが,万人に受けけ入れられる説明ではありません.こうした意味での最初の科学の萌芽はすでにアリストテレスの時代,古く紀元前のギリシャ文明の時代からあったといえます.アリストテレスは変化や物の性質をその内部に内在するものと考えました.たとえば煙は天に上る性質,石は地面に落ちる性質があると考えました.矢が飛ぶのは人が矢に飛ぶ性質を与えたからであり,矢が落ちるのはその性質が消えたからであると考えたのです.アリストテレスは後に三段論法と呼ばれる論理学の基礎を気築いたた人でもあります.その後,中世ヨーロッパでは,キリスト教思想の広まりとともに,科学思想は影を潜めます.しかし,そうしたキリスト教の世界であっても,新しい社会の捉え方を求める動きはありました.ガリレオが物体の落下を重力という外因的なものに求め地動説を唱えてキリスト教協会が世界の中心ではないと叫んだとき,その考えに反対したのはキリスト教協会だけだったのでしょうか.実は当時存在した大学の科学アカデミーもガリレオ流の考えに猛反対していたのです.今では当然のように支持されている運動は力によって発生するという考えも当時は到底受け入れられるものではなかったのです.では近代科学の礎となったガリレオ・ニュートン流の考えはなぜこれほどまで成功したのでしょうか.それは物理学と数学の融合にあったのです.ニュートンの力学は微積分法を用いることでみごとに物体の運動を描き出すことができたのです.そのため,時代の検証に耐え,逆に発展してきたのです.ところでやっと今回の主題の科学的議論の必要性です.ガリレオ・ニュートン流の力学の完成は数世紀かかってやっとなされたものです.最近,科学的成果を政治家が利用し始め,十分な科学的検証のない議題が社会問題として大大的に取り上げられることが増えつつあります.一番皆さんの知っているところでは地球温暖化です.これは本当のところ科学的には十分な検証がなされているとはいえません.地球温暖化対策も中国などもっとも二酸化炭素を多く排出する国が規制の対象外だったり,日本のように二酸化炭素排出量が全世界の5%に満たない国が大幅な削減を要求されたり,これはもう科学というより国連での力関係でおこなわれている茶番でしかありません.こうした問題の影で議論されないまま経済優先のからくりの中,人類社会に暗い影を落とすもっと大きな課題があるかもしれません.たとえば原子力をどう利用していくのか,福島の低放射線量被爆は本当に人体に影響がないのか(厚生労働省は年間の被曝量を1ミリシーベルト以下としていたのにも関わらず(熊本は年間0.5ミリシーベルトです),福島原発事故以降はこれを20ミリシーベルトに引き上げています).国際的には100ミリシーベルトまで大丈夫だという見解ですが,マスコミもこの問題はスルーしており,一部の過激な市民団体が騒いでいるということになっていますが,多くの科学者がこうした政府の恣意的な施策を疑問視しているのです.旧ソ連の時代に今のロシアは共産主義がうまくいかなくなり,急激な食糧不足に陥った時期があります.このときひとりの科学者が出てきて新しい農法により食糧難を解決できると豪語しました.彼の名をルイセンコといいます.彼の学説では環境が小麦の遺伝子に影響を与えるという,メンデルの遺伝学を完全否定するものであったにも関わらず,当時のソ連政府,スターリンがその学説を推奨しました.共産主義において,環境(教育)により遺伝子(思想)を帰ることができるという学説は大いに馴染むものでした.結果,ソ連の農業は壊滅的な状況になり多くの餓死者を出したのです.地球温暖化もそうです.たった10年前はツバルは沈むと言われていました.NHKがしつこく宣伝していたので覚えている人も多いでしょう.いまではツバルの水没は聞かれません.あとで科学者がツバルにいってわかったのが,急激な人口増によりツバルの地下水を住民が大量に汲み上げていたので島全体が沈下していたのがツバルの水没の原因だったのです.マスコミ,特にテレビは放送されたらもう終わりなので,平気で勝手な報道を行います.たとえばよくニュースで日本海に熱帯地方でしか見られない魚が大量に見られたとか,サンゴ礁が本来なかった地域で見られるとかです.もともと地球温暖化説は二酸化炭素による大気の温度上昇のはずです.大気の温度が上がって海水温があがることはまず地球物理学的にナンセンスです.あったとしても数世紀のブランクが発生します.では海水を温めている原因は何か?とくに日本海はユーラシア大陸と日本の島弧に挟まれた内海で,深さも数百メートルしかありません.ここに大量の熱い水がながれこんだらどうなるでしょう.10年程度で数度の温度上昇が見込まれるのは簡単な計算で求まります.では熱水の原因は?日本の日本海側,ロシア,朝鮮半島は100以上の原発排水を日本海に流しています.これだけの大量の熱水があれば簡単に海水温が上昇します.さて,日本海の海水温が上昇しているのは果たして原発が原因でしょうか?最近では太平洋の海水温も上昇しているといわれています.これらをうまく説明するためには他の原因を考える必要があるのでしょうか?科学とは,こうした既存のものに対する批判精神と多くの議論がなされて初めて進歩するのです.みなさんには週刊誌やテレビ,新聞にかかれていることをすぐうのみにするのではなく,多くの話をきき,自らの頭で考え,深く物事を知ることのできる大人になってほしいとおもっています.

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