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コラム

2020年5月号教室だよりより抜粋

文明が進んでもウイルスで人が次々に倒れていくように,現実社会では高度な科学技術を持ってしても未解明のことがたくさんあります.いまではハワイにあるすばる望遠鏡で宇宙の最果てである136億光年というとてつもなく遠くの宇宙の情報を掴むことができているにも関わらず,こと地球内部に関しては10kmより深くボーリング掘削することさえできないでいるのが現実なのです.はたして人の持ついまの技術が高度と呼べるものなのか,はたまた宇宙にはもっと高高度な文明が存在するのか.今日はそのようなことについて話してみたいと思います.シュメール人というのは人類初の文明を築いた民族で,このシュメール人の記述の中には数メートルの大男が空から降りてきて様々な知識を教えたという記述が楔形文字に残っていたり,宇宙人のような形の土器が見つかったりしているようですが,こうした事実は何を意味しているのでしょうか.もしかして宇宙はすでに高高度な生命体がみちており地球をそれとなく観測しているのでしょうか.それはともかく,人類はこうした地球外生命体について真剣に議論したり,または探査しようとしたことがあるのでしょうか.おそらくこの問題に最初に真剣に向き合って行われた会議は1971年,アルメニアのビュラカン天文台での歴史的会議においてでしょう.いわゆるCETI (Communication with Extra Terrestrial Interigence : 地球外知的生命体との交信) についてアメリカ・旧ソ連を中心に約50名近くの科学者が集まって地球外の「知的」生命体の存在,もし存在するとすればどのようにして交流することができるか,間接的に電波等による意思疎通から直接会える可能性までについてじっくりと議論されたのです.この内容は一冊の本として日本語訳も存在します(カール・セーガン編,異星人との知的交信,河出書房新社,1981).この本を読むと決してこの会議が冷やかし半分ではないことがわかります.会議のアメリカ側代表はカール・セーガン,ソ連代表はアンバルツミヤンというふたりの有名な天文学者がつとめています.先程のシュメール人宇宙人仮説はカール・セーガンの発案でもあります.さて出席者の中にはクリックの名前も存在します.クリックはDNAの存在を最初に証明したノーベル賞学者です.ほかにもフランク・ドレイク,フリーマン・ダイソン(この会議ののちにノーベル賞をとります)など綺羅星のごとき科学界の大スターの名前が散見されます.さてこの会議での最大の成果の一つは観測すべき対象としての具体的な天体の候補を絞ることができたことが挙げられます.もし高度な文明を有する生命体がいる惑星があるならば,その生命体は惑星軌道上に巨大な球殻を構築して恒星からのエネルギーをすべて使うような惑星規模の大改造を行うであろうとの予想をもとにしています.たとえば地球は太陽からのエネルギーのわずか20億分の1しか利用できていません.このような球殻を作る技術があれば地球上のエネルギー問題は解決するでしょう.さてもしこのような高度な文明を持つ惑星があったとして近くの恒星をすっぽりつつみこむような巨大な構造物を作っていたとしましょう.この球殻は外からは真っ暗に見えるはずです.なぜなら恒星をつつみこんでいる球殻によって可視光線がさえぎられるからです.ただし,このような球殻はその内部で使用したエネルギーを排熱として球殻の外部へと放出するはずです.この熱は赤外線を発します.すなわちこのような巨大な球殻はまっくらでありながら赤外線で輝いているはずです.この球殻のことを提唱者フリーマン・ダイソンの名前から「ダイソン球」と呼んでいます.現在,地球外知的生命体(ETI)を探そうという真剣なうごきが国際的な協力のもとで進められています.そのうちの観測計画にはこうした赤外域で明るく煌く星をみつけることが組み込まれています.ダイソン球が提唱されてから今年で50年が経とうとしています.最近になって太陽系を超高速で移動する不思議な物体が見つかっています.この物体は最初,太陽系外から飛来した初めての天体の可能性があるというのでたいへんな注目を浴びました.2017年に発見されたオウムアムアと呼ばれる天体は恒星間の引力では説明できないほどの高速で移動しながら太陽系をよこぎっていきました.この天体観測史上初の太陽系外天体は一部科学者の間でもしや地球外生命体のあやつる宇宙船ではないかとの仮説もでています.この仮説は天文学の分野でも権威のあるAstrophysical Journal Lettersに論文として発表されました.こうした権威ある論文に記事を掲載させるためにはたんなるエッセイではなく科学的根拠にもとづいて,多くの科学者が納得する内容でなければ掲載させてもらえません.インフルエンザのようなウイルスは宇宙空間でも生息可能であり,恒星間をみたしており,深宇宙にはウイルスが漂っているという説もあります.こうしたウイルスがたまたま彗星などとともに惑星に到達し,生命が発生したいわゆるパンスペルミア説(汎種子説)は当初,作家フレッド・ホイルのSF作品「暗黒星雲」に登場します(たとえば,F.ホイル,C.ウイクラマシンゲ著,宇宙からの生命,青土社,1985).今では宇宙にただよう暗黒物質の分光学的性質からその内部には大量のアミノ酸のある可能性まで示唆されています.そうした中,パンスペルミア説もあながちうそではないのではないかと考えてる学者もいます.いま新型コロナが大発生しています.これが宇宙からの人類文明の発達度合いをためすために送られたメッセージだとしたら...現代文明はあらゆる場面から闇を消し去り光を充てる作業を繰り返してきましたが,人類の無知や闇をえぐりだすために,我々を試そうとする神のような存在が本当に実在するのかもしれません.

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